TAX CONTENT

税金情報&お知らせ

輸出売上の消費税還付は簡易課税では受けられない!

輸出売上がある会社であれば、消費税の還付は一大事です。しかしひとつ間違えると、消費税の還付が受けられるない可能性があります。そこで今回は、『簡易課税では消費税還付はなぜ受けられないのか?』を確認しましょう!

 

消費税還付の簡易課税制度

 

1.簡易課税とは?

まずは、簡易課税について簡単に説明しておきましょう。

 

簡易課税とは、『2年前の売上が、5,000万円以下の会社が選択できる消費税の簡易な計算方法』です。読んで字のごとく「簡単」にできる消費税の計算方法です。詳しくは以下の国税庁のサイトをご確認下さい。

»»»簡易課税制度とは?

 

 

 

簡易課税は、売上の数字だけ分かれば消費税の計算ができるため、消費税の還付を受けるための「経費で払った消費税」を集計することはありません。そのため、還付する金額が正しく計算できないので、輸出売上の還付を受けることができないのです。

 

まあ百歩譲って、売上金額が5,000万円以下の会社が対象なので、対象になる会社は少ないとは思いますが、注意するのは今期が5,000万円ではなく、「2年前が5,000万円」ですからね。2年前が5,000万円以下でも、今は3億円の売上という会社は小売業は多いでしょう。

 

2.簡易課税の対策を考える

以下で、いくつかのケースごとに対策をご紹介します。

 

まずはしっかり輸出売上で消費税が還付になるのか、自社の数字を使ってシュミレーションして下さい。輸出売上があっても、売上に占める割合が少額であれば、還付になることはありませんので……

 

<対策案>

①すぐに簡易課税を取り下げる

こちらの届出書を税務署に提出して、すぐに簡易課税を取り下げます。

»»»消費税簡易課税制度選択不適用届書

 

ただこの簡易課税はちょっと曲者なんです(笑)

何が曲者かというと、一旦簡易課税を選択してしまうと「2年縛り」となってしまうため、原則的な計算に戻すには、2年後ではないと取り下げできないのです。ですから、いつから簡易課税を選択したのか時期を確認する必要があります。

 

そのため、将来的に海外進出を考えていらっしゃる方は、簡易課税の選択は十分検討して選択して下さい。消費税は後出しジャンケンができませんからね・・・。

 

②来年度以降に輸出売上が発生する場合は取り下げる

まだ今は輸出売上が少額で、来年度以降に増加する予定であれば、今期中に消費税の納税シュミレーションをして、簡易課税を取り下げることができます。

 

消費税の原則的な計算へ戻すには、『適用したい事業年度の“前日”まで』にこちらの届出書を提出しておく必要があります。分かりにくい表現ですよね(笑)

»»»消費税簡易課税制度選択不適用届書

 

例えば、3月末決算の会社は事業年度の始まりは4月1日ですので、前日の3月31日までには税務署へ上記届出書を提出しておく必要があります。

 

 

この期限は絶対厳守です。お気をつけください(*^^*)

 

③事業年度の途中で、急に輸出売上が増加した場合

ここからはちょっとテクニカルです(笑)

そんな都合よく来年度から輸出売上が増えてコントロールできることも無いでしょう。売上なんて水ものなんですからね。

 

そのため事業年度の途中で急に輸出売上が増えた場合は、その時点でザックリと事業年度を分けてしまいましょう!!

※上記の簡易課税2年縛りが無い状態での話です。

 

事例で考えてみましょう。

・3月末決算

・現在、簡易課税を選択中(2年縛り無しの状態)

・今期の8月から輸出売上が大幅に増加予定

・現在は7月始め

 

このような状況であれば、7月31日で一旦事業年度を締めて、8月1日から新しい事業年度を開始しましょう。手続きは簡単で、株主総会を開催して、定款を変更するだけです。登記をする必要もありません!

 

そして税務署へは、下記の異動届出書を提出すれば完了です。ね、簡単でしょ!一応、都道府県、市町村にも変更の届出は提出しておきましょう。

»»»異動届出書

 

そして、消費税の簡易課税の取りやめは絶対忘れずに!!

»»»消費税簡易課税制度選択不適用届書

 

ここで大事なのが「提出期限」です。

7月31日で締めて、8月1日に新しい事業年度が始まりますので、7月31日までに税務署へ提出して下さいね。適用したい事業年度の「前日」でしたよね。

これを出さないと事業年度を変更しても意味がありませんからね(笑)

 

④別会社を設立する

上記で書いたように、簡易課税には2年縛りがあります。そのため今の会社とは別に、輸出売上を専門とする別会社を設立するのもアリでしょう(^-^)v

 

この場合は、設立する前に数字的(税金など)なメリット・デメリットがどれくらいあるのかシュミレーションして下さいね。会社の設立費用、管理コスト、手間などがどれくらいあるか、それが消費税の還付額以上であれば、メリットはありませんからね。

 

3.まとめ

ようは、貿易業の会社であれば簡易課税は曲者ということです(笑) 輸出売上がある会社は簡易課税の取扱いには十分注意して下さい!!

当事務所では、「消費税還付コンサルティング」というサービスもやっておりますので、お困りの方はこちらをご利用下さい(*^^*)

»»»輸出・輸入業のための、消費税還付コンサルティング

 

<注意>

こちらの記事は、中小企業の経営者や経理担当者に分かりやすく書いています。そのため細かな詳細は省いておりますので、ご不明なことは顧問税理士さんか税務署、または当事務所までご相談ください(*^^*)