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海外渡航(海外視察)費用はどこまで経費にでき、どのように計算するのか?!

海外展開や進出を考えている会社は、事前にリサーチが大事です。その場合は、同業者や業界団体、その他親会社や元請けの会社と一緒に、海外へ1週間ほど視察旅行することもあるでしょう。今回は、その場合の経費の取扱いをご紹介します(*^^*)

 

海外渡航費用はどこまで経費にできるのか

 

1.海外渡航費のルールを確認

こちらに海外渡航に関する税務署の通達があります。

▼海外渡航費

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_07_02.htm

 

海外渡航費は判断が難しいため、国税庁から取扱の詳細が公表されています。

▼外渡航費の取扱いについて(法令解釈通達)平成12年10月11日

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/001011/01.htm

 

この2つを参照しながら解説していきますね(*^^*)

 

まず第一に、海外渡航で会社の経費処理をするには、以下の要件に該当する必要があります。

・仕事で必要な海外渡航

・高額ではない旅行費用

 

またまた、抽象的な表現ですね(笑) 当たり前と言ったら当たり前です。

「ズバリ」を法律や通達で書いて決め打ちしてしまうと、やりたい放題になるから仕方ないのでしょう。では詳しく確認して行きましょう!

 

2.業務(仕事)として認められないもの知る

具体的にどのように判断するのか基準があります。法人税の通達では以下のようなものは仕事として認められないという基準です。

<業務の遂行上必要な海外渡航と認められないもの>

(1) 観光渡航の許可を得て行う旅行

(2) 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行

(3) 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの

 

まず最初の「観光渡航」とは、その国へ行くために観光のビザを取るという意味ですね。「観光=遊び」なので、これは経費として認められないのは分かります。

ただ、万が一その国へ入国するのに、観光ビザでしか入国出来ない場合があれば、こちらのビザを取得して仕事をするかと思いますので、その場合は経費として認められるでしょう。

そのため、観光ビザだから絶対にダメという訳ではないということで、ケースバイケースです。

 

次の「団体旅行」とは、ようするに「観光ツアー」の旅行のことです。

観光ツアーで仕事に行くことはあり得ませんので、これでは経費にならないということです。

ただこの場合も、観光ツアーであっても「飛行機とホテルだけ」でその他は自由であれば、この方がコスト的にも安いので、観光ツアーで海外渡航を行い、現地で研修や見学をすることもあるでしょう。

 

その場合であれば、この観光ツアーの内容を証明する書類をキチンととっておき、別で行くとなるとコストが割高になるため、こちらのツアーで行き、現地では研修や企業の見学などを行った事実を残しておけば経費として認められるでしょう。

 

では最後の「観光目的と認められるもの」ですが、これは業界団体の慰安旅行的な意味合いが強いものは、研修にならないので経費にできないということです。そのため交際費としての経費処理になるのでしょう。微妙な部分もありますが(笑)

 

3.海外渡航の経費基準は?!

通達にはこのようにあります。

海外渡航費に係る損金算入額又は必要経費算入額の算定に当たっては、次に掲げる事項を具体的に説明する書類その他参考となる資料に基づき、その法人又は個人の海外視察等の動機、参加者の役職、業務関連性等を十分検討する。

(1) 団体旅行の主催者、その名称、旅行目的、旅行日程、参加費用の額等その旅行の内容

(2) 参加者の氏名、役職、住所

 

では、細かなところも見ていきましょう。

誰が主催しているのか?

旅行会社が企画したようなツアー旅行では遊びなのでダメだということです。

業界団体や海外視察企画会社が企画した旅行や、僕の税理士で言えば、以前入会していた日本M&Aセンターが年に一回海外視察として税理士向けに行うのなどは問題無いということす。

 

その旅行は何が目的?

自分の業界で海外の仕事のやり方を視察に行ったり、海外の工場の提携先を探しに行ったり、不動産や投資案件を探しに行くなど目的があると思います。

海外でセミナーなどに参加された場合には、セミナーの資料は保存しておきましょう。

 

旅行日程は?

「日程なんていつでもいいでしょ!」と思われてるでしょう。

しかし、正月やゴールデンウィーク、お盆などのハイシーズンに仕事で海外視察に行くのか?とうがった見方をするのは僕だけではないと思います(笑)

また、海外視察に1〜2ヶ月も行くことはあり得るのか不思議に思うはずです。

そのため、行く時期や期間は注意しておきましょう。

 

本当にハイシーズンに行くしか時間が無いなどの理由もありますし、海外の現地で店舗を新規出店する場合は、1〜2ヶ月行く必要があることもあるでしょう。これらの場合は認められるでしょう。

これは海外視察というより仕事ですけどね(*^^*)

 

参加費用は?

これはあまりにも高額ではないか?ということです。

飛行機はビジネスクラスで、ホテルは三星ホテルばっかりだと、「これって観光や慰安じゃないのか?」と思われるでしょう。

 

だから、あまりにも高額であれば、視察ではなく「遊び」だと思われる可能性は高いのです。

ただ、自分の会社が日本でホテルを運営していて、海外の高級ホテルを視察するような場合は問題無いでしょうけど。

だから、ケースバイケースということです。

 

その他、全体の旅行内容を見て、現地での行動がほとんど自由時間だったり、これって遊びに行ってるだけじゃないの?というような内容ではダメだということです(*^^*)

 

だから海外視察の企画をされる方もこのあたりはご注意下さい。

「これ経費なりますから、海外視察に参加しませんか?!」と営業しておいて、後々の税務調査で否認されたら、目も当てられませんからね(笑)

 

参加者の氏名、役職、住所

これは誰が行くのか?が大事だということです。

役員や役職者だけが行くことは考えられるので問題無いでしょう。

 

ただ、これらの人が全て「身内」だとちょっとマズイかもしれませんね。。。絶対ではありませんが。

例えばFCに加盟していて、その事業をファミリー経営していれば、海外視察であっても家族だけの参加になることはあるでしょう。

 

これらの書類もキチンと残しておくとよいでしょう。税務調査で必ず聞かれますので。

注意書きにこのように書いていますからね(笑)

 

(注) 上記(1)を説明する資料については、必要に応じ、団体旅行の主催者等の所在地を所轄する税務署又は国税局を通じて入手する等、事実関係の的確な把握に努める。

 

 

4.旅行代金が高額ではないとは?!

海外の渡航費であれば、日本であれば飛行機は必須となるので、旅行代金が高額になる場合もあります。

飛行機のクラスは、エコノミー、ファースト、ビジネスと色々ありますので、ビジネスで高額と感じる人もいますし、ビジネスは当たり前の方もいらっしゃるので一概に高額がどうかは人によって異なるでしょう。

 

そのため会社で、旅費規定の中で役職者ごとに決めてても良いと思います。この辺りは、テキトーでは無くしっかり決めておきましょう。そのためビジネスは高額なので絶対ダメという訳ではありません。

 

ただ海外視察の企画旅行であれば、ある程度指定してあるため変更は出来ませんけどね。

 

5.同伴者の旅費は経費になる?

海外へ行く場合、場所によっては同伴が必要な場合もあるでしょう。

ニュースでよく見るのはノーベル賞の授賞式です。奥さんと一緒に出席されている方も多いので、このような場所であれば同伴者が必要になりますね。

 

では、税務で同伴者の旅費はどう判断するのでしょうか? 一緒に確認してみましょう。

<同伴者の旅費>

(1) その役員が常時補佐を必要とする身体障害者であるため補佐人を同伴する場合

(2) 国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合

(3) その旅行の目的を遂行するため外国語に堪能な者又は高度の専門的知識を有する者を必要とするような場合に、適任者が法人の使用人のうちにいないためその役員の親族又は臨時に委嘱した者を同伴するとき

 

1番の本人に障害があり、補助する人が必要な場合は仕方ありませんよね。これは当たり前に考えて分かりますね。。

 

2番のこれが「ノーベル賞授賞式」の事例です(*^^*)

海外であれば、夫婦で参加するパーティーが多いのでしょう。日本ではあまり感覚がありませんが。

このような場に出向く場合には、その同伴者の旅費も経費になるということです。

 

3番は、海外視察で通訳や専門的な知識を持った人が必要な場合で、それが親族であればOKということです。また、外部に委託した場合も当たり前ですけど経費でOKということですね。悪用はやめてくださいね(笑)

 

このように、何かしら家族や親族の身内であっても、同伴に必要な理由があれば経費として認められるということです。

 

 

6.海外渡航費のうち、経費となる金額の計算方法

通達では、以下のような取扱になっています。

同業者団体等が行う視察等のための団体による海外渡航については、課税上弊害のない限り、その旅行に通常要する費用(その旅行費用の総額のうちその旅行に通常必要であると認められる費用をいう。以下同じ。)の額に、旅行日程の区分による業務従事割合を基礎とした損金又は必要経費算入の割合(以下「損金等算入割合」という。)を乗じて計算した金額を旅費として損金の額又は必要経費の額に算入する。

 

ようするに、海外渡航費で、業務に使用した部分は経費として認めますよ、ということです。

 

その後に、ただし書きで以下のように続いています。

ただし、次に揚げる場合には、それぞれ次による。

(1) その団体旅行に係る損金等算入割合が90%以上となる場合 その旅行に通常要する費用の額の全額を旅費として損金の額又は必要経費の額に算入する。

 

(2) その団体旅行に係る損金等算入割合が10%以下となる場合 その旅行に通常要する費用の額の全額を旅費として損金の額又は必要経費の額に算入しない。

 

(3) その海外渡航が業務遂行上直接必要であると認められる場合(「業務従事割合」が50%以上の場合に限る。) その旅行に通常要する費用の額を「往復の交通費の額(業務を遂行する場所までのものに限る。以下同じ。)」と「その他の費用の額」とに区分し、「その他の費用の額」に損金等算入割合を乗じて計算した金額と「往復の交通費の額」との合計額を旅費として損金の額又は必要経費の額に算入する。

 

(4) 参加者のうち別行動をとった者等個別事情のある者がいる場合 当該者については、個別事情を斟酌して業務従事割合の算定を行う。

 

まとめると、以下のようになります。

業務割合/経費割合 往復の交通費 それ以外の費用
90%以上 100% 100%
50%以上 100% それ以外の費用×業務割合
50%未満 海外渡航費×業務割合
10%以下 0% 0%

※この業務割合は、10%単位で計算して、端数は四捨五入します。

 

仕事の割合が90%以上であれば、全額経費(100%)でOKということです。

逆に10%以下であれば、「それは経費ではなくプライベートなものでしょう!」ということで、全額経費にすることは出来ません。

 

そのため会社で旅費を支出した場合には、個人負担部分は立替金などとして、後日個人から徴収する必要があります。そうしないと、会社が旅費を万が一負担した場合には、その人に対する「給与」として個人にも税金が課税されることになりすのでご注意下さい。

それが役員であれば、役員賞与として経費に出来ませんからね(*^^*)

 

 

7.業務従事割合の計算

では、業務割合の計算をしてみましょう。計算式は以下のとおりです。

 

           視察等の日数

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(視察等の日数+観光日数)

 

ただここで細かいですが注意点があります。

まず全体の日数を以下の4つに区分する必要があります。

1.視察等の日数

2.観光の日数

3.旅行日の日数

4.その他の日数

 

この内容を説明しましょう。

また日数の計算単位ですが、昼間の通常の業務時間(おむね8時間) を1.0 日として計算します。

そして細かいですが、0.25日を単位で計算します。

また、夜間に業務に従事している場合には、この日数を「視察等の業務に従事したと認められる日数」 にプラスします。

 

ふー、細かいですね、税務署の計算は(笑)

 

では、もっと細かくなりますが詳しく内容を確認しましょう。

1.視察等の日数

イ 工場、店舗等の視察、見学又は訪問

ロ 展示会、見本市等への参加又は見学

ハ 市場、流通機構等の調査研究等

ニ 国際会議への出席

ホ 海外セミナーへの参加

ヘ 同業者団体又は関係官庁等の訪問、懇談

 

2.観光の日数

イ 自由行動時間での私的な外出

ロ 観光に附随して行った簡易な見学、儀礼的な訪問

ハ ロータリークラブ等その他これに準ずる会議で、私的地位に基づいて出席したもの

 

3.旅行日の日数

旅行日の日数は、原則として目的地までの往復及び移動に要した日数とするが、現地における移動日等の日数でその内容からみて「視察等の日数」又は「観光の日数」に含めることが相当と認められる日数(観光の日数に含めることが相当と認められる当該移動日等の日数で、土曜日又は日曜日等の休日の日数に含まれるものを除く。) は、それぞれの日数に含める。

 

4.その他の日数

イ 土曜日又は日曜日等の休日の日数((4)の旅行日の日数を除く。)。

ただし、これらの日のうち業務に従事したと認められる日数は「視察等の日数」に含め、その旅行の日程からみて当該旅行のほとんどが観光と認められ、かつ、これらの日の前後の行動状況から一連の観光を行っていると認められるような場合には「観光の日数」に含める。

ロ 土曜日又は日曜日等の休日以外の日の日数のうち「視察等」、「観光」及び「旅行日」に区分されない休養、帰国準備等その他の部分の日数。

 

その他になるので、土日は業務割合の計算には含めずに考えるということです。

ただ、土日に視察等で業務を行った場合には、視察の日数に含めて良いということです。

 

分かりにくいので、事例で確認してみましょう(*^^*)

 

<事例>

アメリカのシリコンバレーへ、業界団体と海外視察旅行をしました。

5泊7日で、水曜日に日本を出て、翌週の火曜日に戻って来たとしましょう。

1日目 水曜日

昼過ぎに出ても、現地のアメリカに到着するのは、木曜日の昼過ぎでしょう。

そのためこの日は特段何も出来ないでしょう。

よって、「旅行日の日数」と考えられます。

2日目 木曜日

この日は、朝から移動して、シリコンバレーを一日見学しました。

よって、「視察等の日数」になりますね。

3日目 金曜日

この日も同じくシリコンバレーを視察して、現地の人のセミナーを聞き、夜は全体の会食がありました。

よって、これも「視察等の日数」になりますね。

4日目 土曜日

この日は土日だったので、皆さん自由行動となりました。

そうすると、「その他の日数」になります。

5日目 日曜日

日本から来た同業者みんなで、ナパバレーへワインの見学に行きました。

ただこの日は日曜日なので、観光の日数にはならず、「その他の日数」となります。

6日目 月曜日

昼過ぎの飛行機でサンフランシスコを経ち、日本へ帰国します。

よって、「旅行日の日数」と考えられます。

7日目 火曜日

日本へ到着

よって、「旅行日の日数」と考えられます。

 

※細かい時間では計算していません。

業務割合の計算

となると、視察等の日数は2日で、観光はしましたが土日だったので日数は0日となります。

 

計算は、3日/(3日+0日)=100%となり、この事例の海外視察旅行は経費としてOKということになります。

まあ、旅行内容から見ても当たり前ですけどね(*^^*)

 

そのため、海外視察で仕事であっても、休日に観光等をしても経費として認められるということです。そりゃ当たり前ですよね。

日本にいても、土日が休日であれば遊んでもいいんですから。ただ今回は海外に仕事で来ているということだけです。

 

9.税務調査で狙われる!!

この海外渡航費は必ずと言っていいほど、税務調査があれば確認されます。

 

・社長の家族や愛人と行っていないか?!

・ただの遊びではないのか?

 

なども含めて、必ず書類や事実の確認が行われます。

そのため、無実を証明するために、キチンと書類は残しておきましょう。

 

10.まとめ

海外へ進出を考えられている会社は事前のリサーチや情報収集は大切なことです。それは現地に行かないと分からないこと、感じれないことがたくさんあるからです。インターネットが発達しても肌感覚までは伝わりませんからね。

 

だから、海外視察の話は増えてくるので、自らが企画される場合も、参加される場合も、キチンと税務の基準を確認しておきましょう。

せっかく仕事で行ったつもりが、経費に出来ない・・・、なんて言われたらがっかりですからね。

 

まあ、経費にすることが全てではありませんが、投資しているので経費に出来るか否かは大事なことです。

 

 

<注意>

こちらの記事は、中小企業の経営者や経理担当者に分かりやすく書いています。そのため細かな詳細は省いておりますので、ご不明なことは顧問税理士さんか税務署、または当事務所までご相談ください(*^^*)