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日本の居住者が、海外の金融資産に投資した場合の税金はどうなるのか?

ここ最近、日本に住んでいる方でも、海外の金融商品に投資している方が増えてきました。

そこで個人の方が海外の金融商品に投資した場合の、税金の課税関係(何所得で税率はどれくらいか?)をまとめてみたいと思います(*^^*)

 

 

1.対象者

前提条件を以下のとおりで説明したいと思います。

・日本に住んでいる個人(居住者)

・国外の証券会社で購入しているもの

 

※国内の証券会社で購入したものの課税関係は、巷に溢れていますのでそちらをご参考に下さい。

 

日本に住んでいる居住者の方であれば、海外にある資産で利益が出て、海外で税金が課税されていても、その利益も日本で税金の申告が必要となります。

これを「全世界所得課税」と言います。

 

たまーに、「海外の利益は分からないから大丈夫だろう」と言う方もいらっしゃいますが(笑)、今はそうは問屋がおろしません。

理由は、CRS(共通報告基準)と言って、世界百数十カ国で金融情報の共有をしているからです。

今後はこれがもっと厳しくなるでしょう。だから、海外の利益であっても、しっかり申告してくださいね(*^^*)

 

あとひとつ注意して頂きたいのは、ひとつの所得に海外と日本の2ヶ所で税金が課税される場合は、外国税額控除という制度を利用して、二重課税を回避します。

 

以下の記事をご確認下さい。

▼外国税額控除とは?

外国の収入から税金が差し引かれたら、外国税額控除を使いましょう! | 福岡の税理士|国際税務・海外進出をサポートする税理士事務所

 

2.税金の課税関係マトリクス

さて、ここからが本題です。

以下が、海外の金融資産の課税関係です。

 

種類

利子・配当

税率

譲渡益/償還差益

税率

上場株式

総合課税 or 上場株式等の配当所得等として申告分離課税

総合課税

(所得税5%〜45%、住民税10%)

上場株式等に係る譲渡所得等の金額として申告分離課税

申告分離課税

(所得税15%、地方税5%)

申告分離課税

(所得税15%、地方税5%)

特定公社債

利子所得となり、上場株式等の配当所得等として申告分離課税

申告分離課税

(所得税15%、地方税5%)

上場株式等に係る譲渡所得等の金額として申告分離課税

申告分離課税

(所得税15%、地方税5%)

一般公社債

利子所得として総合課税

総合課税

(所得税5%〜45%、住民税10%)

一般株式等に係る譲渡所得等の金額として申告分離課税

申告分離課税

(所得税15%、地方税5%)

預貯金

利子所得として総合課税

総合課税

(所得税5%〜45%、住民税10%)

為替差益は雑所得として総合課税

総合課税

(所得税5%〜45%、住民税10%)

投資信託

総合課税 or 上場株式等の配当所得等として申告分離課税
※ただし、上場・公募されていないものは一般株式となる

総合課税

(所得税5%〜45%、住民税10%)

上場株式等に係る譲渡所得等の金額として申告分離課税

申告分離課税

(所得税15%、地方税5%)

申告分離課税

(所得税15%、地方税5%)

金・プラチナ

一般の譲渡所得として総合課税

(5年以内は短期、5年超は長期)

総合課税

(所得税5%〜45%、住民税10%)

※50万円の控除あり(長期は2分の1課税)

仮想通貨

雑所得として総合課税

総合課税

(所得税5%〜45%、住民税10%)

FX

海外のFX口座は雑所得として総合課税

総合課税

(所得税5%〜45%、住民税10%)

ワイン

一般の譲渡所得として総合課税
(5年以内は短期、5年超は長期)
 

総合課税

(所得税5%〜45%、住民税10%)

※50万円の控除あり(長期は2分の1課税)

※平成25年から平成49年(2037年)までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。

 

3.外貨はいくらで計算するのか?

上記の利子や配当、その他の収入は、すべて外貨でもらわれると思います。

ただ日本で税金の申告をする場合には、「日本円」で申告が必要なので、外貨を円に計算し直す必要があります。

 

その計算は、収入する日のTTM(電信仲値相場)で円換算した金額となります。

TTMの意味や計算方法は、こちらの記事をご参考に下さい(*^^*)

海外から商品を仕入れた(売った)場合の、為替レートはいつを使うのか? | 福岡の税理士|国際税務・海外進出をサポートする税理士事務所

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4.損益通算はどうなるか?

損益通算とは、一方が黒字の利益で、もう一方が赤字だった場合に、これらを相殺してプラスマイナスすることを言います。

 

上記の所得の場合であれば、以下のものが考えられます。

・上場株式の譲渡所得で赤字 ⇒ 上場株式の配当と損益通算可能

 

なお、損益通算できないものは以下のものです。

・雑所得(為替差損、仮想通貨、FX)

・総合譲渡所得(金・プラチナ・ワイン)は通常生活に必要でない資産のため

 

 

5.赤字の繰越はできるの?

上場株式等に係る譲渡所得で赤字が出た場合には、3年間の繰越控除が可能です。

赤字を繰り越すには、確定申告が必要なのでお忘れなく(*^^*) その他の赤字は基本的に繰越すことができません。

No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除|国税庁

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6.法人の場合は?

一方、海外の金融資産を法人で所有した場合にはどのようになるでしょうか?!

ザックリですが確認しておきましょう。

 

法人税が課税される

通常の法人税で課税されます。

以下、ザックリとした法人税率(表面税率)です。

 

所得 法人税 地方法人税 事業税 地方法人特別税 県民税 市民税 合計
400万円以下 15.00% 0.66% 3.40% 1.47% 0.48% 1.70% 22.70%
800万円以下 15.00% 0.66% 5.10% 2.20% 0.48% 1.70% 25.14%
800万円超 23.40% 1.03% 6.70% 2.89% 0.75% 2.64% 37.42%

 

ニュースなどでは、実効税率が取り上げられますが、実務においては「で、税金いくら払うの?」方が大事なので、僕は表面税率で計算、シュミレーションしています(*^^*)

 

最低でも22%なので、上場株式関係の税金と比べると高いですね。

ただ、最高税率が約37%なので、雑所得に分類されるもので、稼ぐ自信があれば法人の方が有利ということになります(*^^*)

 

なんの利益でも損益通算が可能

また、本業の収入があれば、そちらの所得と損益が通算できます。

例えば、本業が赤字で、金融投資で利益が出ている場合や、本業が黒字で金融投資で赤字の場合は、これらの損益を通算できますので、個人の場合で切り捨てられることはありません。

 

例えば、法人の事業でカフェをやって赤字が出ても、法人で金融商品を持っていれば、金融商品の利益とカフェの赤字は相殺可能ということです(^ ^)

 

また、金融投資だけで万が一赤字がある場合でも、法人であれば青色欠損金が最大10年間繰り越すことが可能です。

個人の場合は、最大3年ですので、赤字の場合は法人の方が得ですね。

 

話がずれますが、アメリカのトランプ大統領も、過去に個人で赤字が数億円あり、税金を数年間払っていたという噂がありましたね。

 

所得の分散が可能

法人の場合は所得の分散が可能です。

 

節税の基本は分散です。

例えば、法人で海外の金融商品を持ち、その法人の役員に配偶者や家族を入れて、これらの家族に給与を支払うことによって、所得を分散することができます。

 

そうすれば、結構節税できそうですね。

 

法人税の税率は高くなるものもありますが、損益通算、繰越欠損金、所得の分散を考えると、場合によっては法人で所有することが有利なこともあるでしょう。

 

相続の節税対策にもなりそうですしね(*^^*)

この辺りは、ご自身の財産と、家族の状況をみて、法人で金融資産を所有するか検討が必要でしょう。

 

7.まとめ

海外の金融商品を持っている場合は、税金の申告が複雑になります。

海外で節税するつもりが、意味がなかった・・・ということも多々ありますので、ご自身の資産をどこの国で持つのか、しっかり検討しましょう。

 

これからは、自分が住む国、税金を納める国、資産を保有する国、などの様々なものの分散が必要な時代になってきましたね(^ ^)

 

 

<注意>
こちらの記事は、中小企業の経営者や経理担当者に分かりやすく書いています。そのため細かな詳細は省いておりますので、ご不明なことは顧問税理士さんか税務署、または当事務所までご相談ください(*^^*)