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税金情報&お知らせ
海外から商品を仕入れた(海外へ売った)場合の、為替レートはいつの日を使うのか?
今回は外貨の基本中の基本である、『売上や仕入れの為替レートはいつの日を使うのか?』を説明します(^o^)/
日本の会社が会計処理をすると「円ベース」で帳簿を付けることになります。
そのため、ドルやユーロの外貨で支払いや受取りをした場合には、「円に計算し直す」必要があります。
これが地味に手間がかかりますが、基本を押さえておけば大丈夫なので、ここでしっかり学んでおきましょう!
1.基本はTTMの仲値を使う
さてまずは基本の「原則」からです。
【原則】
原則は『取引日の直物(じきもの)為替レートの仲値(TTM)』を使います。
例えば、11月24日に仕入れをしたのであれば、11月24日のTTM(仲値)の為替レートを使って計算します。
(事例)
11月24日 商品を$1,000の現金で仕入れた場合
<参考数値>
米ドル USD
TTS(電信売相場) 112.47円
TTM(仲値) 111.47円
TTB(電信買相場) 110.47円
<円に計算>
$1,000×111.47円(TTM)=111,470円
<仕訳>
仕入 111,470円 / 現金 111,470円
ということになります。簡単ですね(*^_^*)
現金のドルで仕入れることは、あまりないと思いますが(笑)
他に、「TTS、TTB」というものがありますが、無視して下さい(笑)
ちなみに、TTMのMとは「Midle」のことなので、TTSとTTBの真ん中という意味です。
ついでに余談ですが、TTMの求め方はTTSとTTBの金額を足して、それを2で割るとTTMが計算されます。
上記の例ですと、(112.47+110.47)÷2=111.47ということですね!
為替レートはこちらで確認しましょう。
できたら自社の取引がある銀行が良いでしょう(*^^*)
<外貨為替レート>
※他にも細かなやり方がありますが、中小企業であればそこまでする必要ありません。ここでは、経理を効率的に行うことを目的として解説しています。
2.取引日が休みの場合はどうするのか?
さてここでひとつ問題がでてきます。
それは取引をした日が「祝日や土日」の場合には為替レートがありませんので、「いつの為替レートを使ったら良いか?」ということです。
答えを先に言うと、『取引の前日の為替レート』を使います。
例えば11月23日は勤労感謝の日で日本は祝日です。
そのため為替レートがありません。
この場合は、前日である11月22日の為替レートを使うことになります。
よって基本は「その日に為替レートが無ければ”前日”を使う」ということを覚えておきましょう。
ただここでもうひとつ問題が。
11月23日が月曜日で休みの場合だとどうなるのでしょうか?!下の図を御覧ください。
前日の11月22日は日曜日になるので、この日も為替レートはありません。
その場合は、前日よりも過去に遡って11月20日金曜日の為替レートを使うことになります。
なぜ前日を使うのか、理由は簡単です。
それは、翌日の為替レートを使うのであれば、その日(11月23日)は取引の仕訳が出来ないからです(^-^)
決算日が休みだったら締めれないですよね。そのイメージで覚えておいて下さい。
3.実務的にはどうするのか?
ただ、こんなことを日々の経理でやっていたらどんだけ手間がかかるのか・・・。
そのため実務では簡易な方法を使って計算します。
それは、以下のいずれかを会社で選択して使います。
<中小企業が実務で使う為替レート>
①前月末(先週末)の為替レート
②前月(先週)の平均の為替レート
①前月末の為替レートを使う場合
例えば前月末の為替レートで考えてみましょう。
上記事例の11月24日の場合は、取引が11月なので前月の10月31日の為替レートを使って計算します。
というか、11月全ての取引において10月31日の為替レートを使って計算します。
②前月の平均為替レートを使う場合
よく使われるのは、前月の平均為替レートですね。
前月末(先週末)の為替レートの場合は、その日の動きが大きければ損益に影響を与えますが、平均であればブレが少ないからです。
このように使う為替レートを固定することにより、11月の取引は日々の為替レートを確認しなくても、会計処理ができるようになります(*^^*)
これでかなり簡単で楽になりますね!
そのため、自社で為替レートのルールを作りましょう!
・使う為替レートを付箋に書いてパソコンに貼っておく
・外貨取引をEXCELでまとめて、外貨を入力すれば自動的に計算できるようなシートを作る
など、すぐに分かり、簡単に計算できるようにしておくと便利です(*^^*)
そして、そのEXCELは会計ソフトにCSVデータでインポートできるようにして、データで取り込めば自動的に売上や仕入れの仕訳が登録されるとかなり手間が省けると思います(^_^)v
外貨預金の通帳でも活用できそうですね!
ただしひとつだけ注意点があります。
今月は前月末のレートを使い、翌月は先週末の平均レートを使う、というように自分勝手に毎回変更してはいけません。
ようは「継続して○○のレートを使う」と会社で決めておく必要があるということです!
4.まとめ
◆原則、外貨は取引日の為替レート(TTM:仲値)を使う
◆会社でルールを決めて、継続して前月の平均為替レートを使う
外貨の取引が絡んで来ると、経理の処理は結構面倒になります。
そのため、事前にしっかりとルールを決めて、効率的にするようにしましょう!
<注意>
こちらの記事は、中小企業の経営者や経理担当者に分かりやすく書いています。そのため細かな詳細は省いておりますので、ご不明なことは顧問税理士さんか税務署、または当事務所までご相談ください(*^^*)