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海外の会社のホームページを作成した場合、売上の消費税を請求するのか?!
この記事の要点3行でわかる結論
- 海外の会社からホームページ制作を請け負った場合、日本国内で制作していれば国内取引ですが、非居住者に対する役務の提供として輸出免税になり、消費税を上乗せして請求しません。
- 輸出免税は非課税とは違います。売上に消費税を乗せない一方で、外注費などで支払った消費税は控除でき、還付につながります。
- 誤って10%を請求していた場合は、相手方に返金したうえで更正の請求により取り戻せます。期限は法定申告期限から5年以内です。
「海外の会社からホームページの制作を頼まれたが、請求書に消費税を乗せるべきか」というご相談をよくいただきます。相手は日本にいない、代金はドルで振り込まれる、それでも自分は日本で作業している。どう考えればよいのか迷う場面です。
結論から言えば、消費税を上乗せして請求しません。ただし理由の立て方には順序があり、そこを飛ばすと似た取引で判断を誤ります。この記事では、判定の順序と、間違えて請求していた場合の対処を説明します。
1. まず「どこで役務を提供したか」を見る
消費税がかかるのは、国内で行われた取引です。役務の提供については、消費税法4条3項2号によりその役務の提供が行われた場所で国内取引かどうかを判定します。
国税庁No.6210 国外取引
ここで見るのは、代金を誰が払うかでも、どの通貨で受け取るかでもありません。作業をした場所です。日本の事務所でサイトを設計し、コーディングしているなら、役務の提供が行われた場所は日本です。したがって国内取引に当たり、消費税の課税対象になります。
逆に、現地に人を送って向こうで作業をしたのであれば、国外取引となり不課税です。この場合は消費税の課税対象そのものから外れます。
提供場所が特定できない場合の扱いも通達に定められています。契約で提供場所が明らかにされていればその場所によります。国内と国外の双方で行われ、対価が合理的に区分されていない場合は、役務の提供を行う者の事務所等の所在地で判定します。
役務の提供が行われた場所とは、現実に役務の提供があった場所として具体的な場所を特定できる場合にはその場所をいうのであり、具体的な場所を特定できない場合であっても役務の提供に係る契約において明らかにされている役務の提供場所があるときは、その場所をいうものとする。(消費税法基本通達5-7-15)
契約書に作業場所を書いておくと、判定の根拠がそのまま残ります。海外案件では意識しておきたい一文です。
2. 国内取引なら、次に輸出免税を検討する
日本国内で制作したのであれば国内取引です。ここで終わりにすると10%を請求することになりますが、もう一段あります。非居住者に対する役務の提供は、輸出免税の対象とされています。消費税法7条と消費税法施行令17条2項7号による扱いです。
ただし、非居住者向けであれば何でも免税になるわけではありません。次のものは対象から外れます。
- 国内に所在する資産に係る運送や保管
- 国内における飲食や宿泊
- これらに準ずるもので、その非居住者が国内において直接便益を享受するもの
海外の会社のためのホームページ制作は、成果物がインターネット上で相手方に引き渡され、相手方は自国で利用します。国内で直接便益を享受するものには当たりません。したがって輸出免税が適用され、請求書に消費税を上乗せしないという結論になります。
やました君
同じ「海外の会社向け」でも、日本に来た担当者を国内でアテンドした、国内の倉庫にある在庫を保管した、といった仕事は免税になりません。判定は取引ごとです。相手が海外の会社だからと一律に0%で請求すると、税務調査で否認されます。
3. 免税と非課税は、何が違うのか
「消費税を請求しない」という結果は同じでも、輸出免税と非課税では、仕入側の扱いがまったく異なります。
| 輸出免税 | 非課税 | 不課税(国外取引) | |
|---|---|---|---|
| 売上に消費税を乗せるか | 乗せない(税率0%) | 乗せない | 乗せない |
| 対応する仕入の消費税 | 控除できる | 控除できない | 控除できない(課税売上割合の計算からも外れる) |
| 課税売上割合の計算 | 分子・分母の両方に入る | 分母だけに入る | どちらにも入らない |
制作を外注していれば、その外注費には消費税が含まれています。輸出免税であればその分を控除でき、売上側がゼロである以上、計算はマイナスになり得ます。海外案件の比率が高い制作会社で消費税が還付されるのは、この仕組みによるものです。
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4. 制作物の中身によっては、別の判定になる
ホームページ制作の請負は、成果物を作って引き渡す仕事です。一方、インターネットを通じて役務そのものを提供する取引には、別の判定ルールがあります。電気通信利用役務の提供と呼ばれるもので、電子書籍や音楽の配信、クラウドサービス、ネット広告の配信などが該当します。
国税庁No.6118 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係
この区分に当たる取引は、役務の提供を行った場所ではなく、役務の提供を受ける者の住所等で内外判定を行います。相手が海外の会社であれば国外取引となり、不課税です。
電気通信利用役務の提供が国内において行われたかどうかの判定は、電気通信利用役務の提供を受ける者の住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地が国内にあるかどうかにより判定する。(消費税法基本通達5-7-15の2)
制作を請け負って納品する取引と、サービスを継続して提供する取引とでは、判定の入口が違うということです。制作後にサーバーの保守や運用を月額で請け負うのであれば、その部分がどちらに当たるかを契約単位で確認してください。判断に迷う契約形態であれば、事前に確認しておくことをおすすめします。
5. 誤って10%を請求していたら、どうするか
過去に消費税を上乗せして請求していた場合、手順は次のようになります。
- 相手方に返金する。受け取るべきでなかった金額です。
- 更正の請求により、納めすぎた消費税を取り戻す。期限は法定申告期限から5年以内です。
- 今後の契約書と請求書のひな形を直す。免税である旨を書き添えておくと、相手方にも説明しやすくなります。
なお、輸出免税の売上しかない事業者には、適格請求書を交付する義務はありません。一方で、外注費などの仕入について消費税を控除するには、仕入先から受け取る適格請求書の保存が必要です。発行する側ではなく、受け取る側の書類が問題になると覚えておいてください。
6. まとめ
- 役務の提供は、行われた場所で国内取引かどうかを判定する。日本で制作していれば国内取引。
- 国内取引でも、非居住者に対する役務の提供は輸出免税になる。消費税は上乗せしない。
- 国内で直接便益を享受するもの(国内資産の運送・保管、国内での飲食・宿泊など)は免税の対象外。
- 輸出免税は非課税と違い、対応する仕入の消費税を控除できる。還付につながる。
- 配信型のサービスは「電気通信利用役務の提供」として、受ける者の住所等で判定する別ルール。
- 誤って請求していたら、返金したうえで5年以内に更正の請求をする。
海外の会社との取引で、消費税の扱いに迷っている場合
当事務所では、国際取引の消費税判定と、過去分の更正の請求までご相談を承っています。消費税還付のご相談はこちら
よくある質問
海外の会社からホームページ制作を請け負ったら、消費税を請求しますか?
上乗せして請求しません。日本国内で制作している以上、役務の提供が行われた場所は日本なので国内取引に当たりますが、非居住者に対する役務の提供として輸出免税になります(消費税法7条、同法施行令17条2項7号)。「相手が海外だから対象外」ではなく、国内取引と判定したうえで免税になるという順序です。
判定に使うのは、代金の通貨や相手方の所在地ですか?
違います。役務の提供については、消費税法4条3項2号により、その役務の提供が行われた場所で国内取引かどうかを判定します。誰が払うか、どの通貨で受け取るかは関係ありません。国内と国外の双方で行われ対価が合理的に区分されていない場合は、役務の提供を行う者の事務所等の所在地で判定します。契約書に作業場所を書いておくと根拠が残ります。
輸出免税と非課税は、何が違いますか?
仕入側の扱いが違います。輸出免税は対応する仕入の消費税を控除でき、課税売上割合の分子と分母の両方に入ります。非課税は控除できず、分母だけに入ります。制作を外注していれば外注費の消費税を控除できるため、海外案件の比率が高い制作会社では計算がマイナスになり、還付につながります。
海外の会社向けなら、どんな仕事でも免税になりますか?
なりません。国内に所在する資産に係る運送・保管、国内における飲食・宿泊、これらに準ずるもので非居住者が国内において直接便益を享受するものは、免税の対象から外れます。来日した担当者を国内でアテンドした、国内の倉庫にある在庫を保管したといった仕事は免税になりません。判定は取引ごとに行います。
誤って10%を請求していた場合はどうすればよいですか?
まず相手方に返金し、そのうえで更正の請求により納めすぎた消費税を取り戻します。期限は法定申告期限から5年以内です。あわせて、今後の契約書と請求書のひな形に免税である旨を書き添えておくと、相手方にも説明しやすくなります。
<注記>この記事は、中小企業の経営者や経理担当者の方に向けて、制度の全体像を分かりやすく説明することを目的としています。細部の要件は省略している箇所があります。個別の判断については、顧問税理士または当事務所にご相談ください。記載内容は2026年9月時点の法令等に基づいています。





