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税金情報&お知らせ
外貨での売上や仕入は、どのように会計処理すればよいか?
貿易業の方は、外貨で取引することが多々あるでしょう。
そこで今回は、『ドルやユーロなどの外貨で売上や仕入をした場合の会計処理のやり方』を見ていきましょう(^o^)/
1.具体的な事例で確認する
外貨で仕入をした場合
(例1)
3月21日 アメリカからドル建てで1万ドルの商品を仕入れた
※ドル 2月28日 TTM(仲値) 110円/ドル
<計算>
110円×1万ドル=110万円
<仕訳>
仕入 110万円 / 買掛金 110万円
ここまでは簡単ですね!
為替レートは、こちらの記事に書いていますのでご確認下さい(*^^*)
»»»海外から商品を仕入れた(海外へ売った)場合の、為替レートはいつの日を使うのか?
また海外の仕入は、消費税が「対象外」となるので注意して下さい。
こちらの記事が参考になります。
外貨の支払をした場合
では次に、この買掛金を翌月の4月末に支払った場合はどのように会計処理するのでしょうか?
(例2)
4月末に上記の仕入代金1万ドルを支払った。
※ドル 3月31日 TTM(仲値) 115円/ドル
<計算>
115円×1万ドル=115万円
<仕訳>
買掛金 110万円 / 普通預金 115万円
為替差損 5万円
というような仕訳になります。
支払時の為替レートで支払額を計算して、差額は為替差益か為替差損となります。
やはり外貨の取引になると一手間かかり面倒ですね・・・。
支払い時だけ処理をする
以上のやり方が原則ですが、売上規模が小さければ「お金を払った時だけ処理」をしているところも多いでしょう。
例えば、事例1の契約した時には仕訳はせず、事例2の「お金を払ったとき」に以下の仕訳をするだけです。
(事例3)
4月末に上記1万ドルを支払った。
<仕訳>
仕入 115万円 / 普通預金 115万円
そうすれば、為替差損なども発生せずシンプルな取引になります。
損益も、前者の「仕入110万円+為替差損5万円=115万円」と変わりありません。
ただこの取引だと、売上と仕入の計上時期に「ズレ」が生じますので、あまりオススメできません・・・。だからできるだけ、原則的なやり方をする方が良いでしょう(*^_^*)
2.「為替差損益」という科目を使う
ひとつアドバイスをするのであれば、「為替差益」と「為替差損」のふたつの科目を使って、毎回の取引のときに「今回は益かな?損かな?」と考えるのは面倒で!
そこで新しい勘定科目を作っておくとかなり便利です(^-^)
それは営業外収益(営業外費用でもOK)で『為替差損益』という、ふたつを合体させたものを作っておけば、日々の取引では全てこの科目を使えば良いのです。
万が一実際の取引で「為替差損」の残高になっても、試算表上では「為替差損益がマイナス残高」になっていますが、その場合は「差損」だなと理解すれば良いだけです。
ただ最終的に決算でマイナスになるのはまずいので、その時は営業外費用の「為替差損」へ振り替えればよいでしょう。ようは、為替差損益は「仮の勘定科目」ということですね(^_^)v
ただこれらの取引の数が多くなると、残高の管理だけでもかなりの事務的負担があるでしょう。
そのため、外貨の売上や仕入れは個々で会計ソフトで管理せずに、Excelなどでまとめて計算して、会計ソフトでは「◯◯月分 外貨売上」と仕訳を登録するのが良いでしょう。
そして、入金の管理もExcelでやり、差額をまとめて「為替差損益」で計上するやり方もあります。
会社で使っている「販売管理ソフト」などで入金処理時に、為替差額の処理ができるものがあるようなので、業種に合わせて検討する必要もあるでしょう。
ただマイナーなソフト会社だったり、特殊な取引だとソフトが高い可能性がありますので、あまりオススメできそうにありませんが・・・。
3.まとめ
外貨の仕訳は、日本円の取引と違って一手間かかるので、業務の効率化を常に意識して下さい。
自力でやろうとせずに、会計ソフト、Excel、販売管理ソフトなどを使い、顧問税理士と相談しながら随時見直しましょう。
ついつい慣れて来ると、「これが当たり前」となってしまいますからね!
<注意>
こちらの記事は、中小企業の経営者や経理担当者に分かりやすく書いています。そのため細かな詳細は省いておりますので、ご不明なことは顧問税理士さんか税務署、または当事務所までご相談ください(*^^*)