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税金情報&お知らせ
外貨預金と外国通貨は、決算で円を計算し直す必要がある
この記事を書いている2022年10月の今年は、「円安」が進み、外貨でお金を持っていた会社はウハウハですね!
ただ会社で外貨を持っている場合は、決算で一手間必要です。
そこで今回は、「円計算が必要な外貨預金や外国通貨の決算処理」について学びましょう(*^^*)
通常、ドルやユーロなどの外貨取引は、「取引が発生した日の為替レート」で円を計算し、帳簿を作ります。
では、なぜ決算で再度計算し直す必要があるのでしょうか?
理由は、為替レートは日々動いているので、決算では「現実に近い金額で決算に反映」した方が良いからです。
過去の為替レートとかなりの差(円安・円高)があると、実際は「含み益・含み損」が大きな金額になっている可能性があるからです。
1.事例で確認する
では、簡単な事例で計算してみましょう。
【事例】
・3月末決算
・5月31日に50,000ドル外貨預金へ預け入れ
その時の為替レートは、1ドル110円
・3月31日の為替レートは105円
外貨預金の50,000ドルは動きなし
仕訳で確認してみます。
<5月31日>
外貨預金 5,500,000円 / 日本預金 5,500,000円
※110円× 50,000ドル= 5,500,000円
<3月31日>(決算仕訳)
為替差損 250,000円 / 外貨預金 250,000円
※105円× 50,000ドル=5,250,000円
5,500,000円ー5,250,000=250,000円
以上のような取引となります。簡単ですね(*^^*)
2.決算日が休みの場合は、いつの為替レートを使うのか?
ここでひとつ疑問があります。
例えば決算日が土日や祝日の場合は、取引所も休みのため為替レートがありません。
その場合はどうしたら良いのでしょうか?
そのような時は、『決算日より前の日の為替レート』を使います(*^^*)
詳しい説明は、こちらの記事にも書いたとおりです。
3.選択することも可能
ここまでは原則的なやり方を説明しましたが、そうは言っても決算で計算し直すことは結構面倒ですよね?!
その場合は、以下の届出書を提出して、「発生した円の計算でいいですよ」ということができます。
記載方法は、以下のとおりです。
会社名や住所を書いて、書類の真ん中辺りの下記にチェックを入れます。
法人税法施行令
✓第 122条の5及び第 155条の6の規定に基づき、外貨建資産等の期末換算の方法
そして、「記」の下の表に、以下のように記載します。
▼外国通貨の種類・外貨建て資産等の区分
⇒米ドル・短期外貨預金
※その他、会社で取り扱っているユーロやその他の外貨を記入します。
▼期末換算の方法
⇒「発生時換算法」を、○で囲む
※発生時換算法とは、取引の発生した日で円計算して、決算では再度円計算し直す必要が無いということです。
というように記載して税務署へ提出すれば、決算では円で計算し直す必要はありません。
会社で外貨の種類がたくさんあり面倒であれば、これを提出しておいた方が良いですね(^ ^)
また預金以外でも「外貨の債権・債務」も再計算が必要なので、一緒に変更しておくとより簡単になります!!
4.まとめ
評価方法を選択している会社は少ないかと思いますが、できるだけ決算の手間は省きたいですのでご検討ください。
また、外貨でお金を所有しておく事はメリットもありデメリットもあります。そのため、為替予約をしてリスクを押さえたり、FX口座を使って現受けを使い、為替手数料を安くすることも可能です。
銀行の外貨預金の換金手数料や振込手数料は高いですからね。
この辺は銀行と交渉することも考えるべきでしょう!
<注意>
こちらの記事は、中小企業の経営者や経理担当者に分かりやすく書いています。そのため細かな詳細は省いておりますので、ご不明なことは顧問税理士さんか税務署、または当事務所までご相談ください(*^^*)